発達障害の特徴と歴史
健常と障碍の境界

発達障害は、障害者基本法の狭義の障碍には含まれない。しかし自治体によっては、支援の対象になること、本人あるいは周囲の人々がその性向により、著しく或いはある程度生活上の困難を感ずることが多いことなどを鑑みて、大きな意味で障碍の一部であるととらえる動きがある。

通常、健常者という言葉は、「障碍者、或いは身体的、精神的な病を抱えた病者」ではない状態を示す。心身の発達に関して言えば、「定型発達者」という用語を使う。しかし、この用語は、恒常的な状態を示すものではない。自分の心身は健常だと思っている人でも、風邪や、その他の病気になれば病者になる。そしてそれが回復すればまた、健常という状態になる。どんな健康な人でも「だいたい健常」というのが中立的な表現となろう。

かくもあいまいな障碍と健常の境界を福祉という事業から考えた時に、とる立場は二つある。一つは生活に支障が出ている、支援がいる人々を一か所に集め、細かくケアしていく保護的な立場。

介護施設や、多くの障碍者通所施設、学校などがそうだ。このやり方の利点は、周囲にいるのがケアスタッフ等で、要支援者の困難について知識があり、理解してくれる人々であること、環境、設備的に整備が進み、本人が過ごしやすいことである。もう一つは、社会全体で生活上困難がある人々を受け止め、学校や、職場など生活の場も一致させようという動きだ。本人も周囲もそれなりの努力がいり、成熟した社会構造のもとでしか実現は困難だとされる。現在は保護的な立場から共生の立場の方に社会システムを移行させようという動きが活発になっている。